それは小学生の頃でした。
友達とおしゃべりしている時に、急に変な感覚に襲われました。
表現が難しいのですが『我に返る』感じというのでしょうか。
「あれ、なんで自分は今ここでおしゃべりをしているんだろうか」
もう一人の自分が客観的に自分を見ているような感覚です。
現実感がない、夢の中にいるようなふわふわした気持ちになります。
「いったい自分はどうしてしまったんだろう」と、とても不安に感じましたが
子供ながらに「おかしくなった自分を友達に悟られてはいけない」という気持ちもあり、
「自分はここにいる、自分はここにいる」と心の中で思いながらその場を切り抜けました。
あるときは家でテレビを見ているときにもなりました。
「どうして自分はここにいるんだろう」と、体と心が離れてしまうような不安な気持ちになります。
そのような症状が出たときは体を縮こませて目をつぶってグッと力を入れる。
そうするとなぜかもとに戻りました。
何度も症状を経験して自分なりに編み出した対処方でした。
長らくこの症状がなんだかわかりませんでした。
小学校4年生から6年生くらいの時期がかなり多かったのですが
家族や友達には話せずひとりで抱え込んでいました。
しかし、だんだん歳を重ねるにつれて症状の出る回数は減っていきました。
大人になってから、子どもの頃のこの症状を何度か人に話したことがあります。
「『自我の目覚め』における症状なのでは」という意見をいう人もいれば、
「幽体離脱」のようなスピリチュアル的な意見をいう人もいました。
なるほどね〜と思いつつも、なんだかしっくりくる答えは見つかりませんでした。
しかしそれは、ある日突然やってきました。
30歳ごろの事だったかと思います。
当時、女性作家の小説にはまっていた私は、仕事帰りに図書館に通っていました。
小説の他に、桐野夏生さんのエッセイ本「白蛇教異端審問」を見つけて借りることにしました。
電車の中で読みながら「あれ?」と思いました。
『離人』いうタイトルの文章に書かれた内容に、自分の子供の頃の経験が思い当たったからです。
すぐにネットで調べると、様々な人が同じような症状を経験されていました。
「なんだ、ネットで調べればすぐにわかったじゃん」と、なんだか拍子抜けしましたが、
同時にやっとあの症状が何であるかがわかった安心感が生まれました。
未だに、なぜもっと早くネットで検索することを思いつかなかったのか
自分でもよくわからないのですが、大人になる頃にはあまり症状が深刻でなかったのと、
もしかしたら知るのが怖かったのかもしれません。


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